赤星栄志の物語







昔から「麻」というと大麻草のことを表していたが、今では繊維となる作物として広い意味で捉えられている。大麻以外の麻には、亜麻(アマ)、苧麻(チョマ)、ジュート麻、サイザル麻、マニラ麻などの約20種類ぐらいある。
  大麻は、クワ科の1年草で、成長すると約110日で高さ3〜4mに達し、茎の直径は2〜3cmとなる。この成長の早さと真っすぐに育つことにあやかって、赤ん坊に麻の葉模様の産着を着せたり、麻美、麻衣、卓麻などの名前で使われている。
  原産地は中央アジアと考えられ、19世紀までは、繊維、紙、食品、薬、燃料などに加工するため世界各地で栽培されてきた。
  日本でも古くは、縄文時代の鳥浜遺跡から大麻繊維や種子が発見され、三草四木(三草:麻、紅花、藍 四木:桑、漆、茶、こうぞ)の1つとして、お盆の迎え火に使う「おがら」や「蚊帳」「凧糸」などにも利用されてきた。また、大麻には、邪気を祓う力があると信じられ、神社の御払い、鈴縄、狩衣に今でも使われている。
  しかし、第二次世界大戦後、GHQ占領下において、1948年に大麻取締法が制定され、石油製品の普及と栽培規制によって、ほとんど栽培されなくなり、人々の目の前から姿を消している。